鬱ゲー・泣きゲー・良作ゲーなど、シナリオ重視のエ□ゲーを多く輩出している会社「ニトロプラス」が創立10周年作品として打ち出し、ニトロプラス作品人気1位を獲得した良質鬱ゲー「装甲悪鬼村正」は正義とは何か、邪悪とは、英雄とは、をプレイヤーに問いかけてくる作品です。

英雄なんて必要ない「村正」の世界

まずこの作品の特徴は練りに練られたアクションシーン。完全クリアまでかなり時間のかかる超大作なのですが、刀を使った者同士の戦略方法などを説明しつつ濃厚なアクションシーンが続きます。

次にこの世界観を簡単に言いますと、昔は強かった島国大和(日本)は第二次世界大戦にて敗北してしまい世界連邦軍に占領を許してしまうのだが、その進駐軍は六波羅幕府(当時の幕府さんね)に政権を渡して居座るし見張るけど放置するから幕府は大和の支配者になって好き勝手暴れ放題、民を苦しめている、という感じです。

それでタイトルにもある「装甲」ですが、この物語のキーになる「劔冑(ツルギ)」に関せさせる事でして、普段は鋼で出来た大きな虫やら動物やらの形をしていて喋るし勝手に動きますが、それには作った者の魂が込められていて、主と決めた相手に付き従い、それを纏った者は武者と言われ、物凄いパワーのある大きな鎧武者みたいな感じになります。

悪者を倒しても、英雄にはなれない

「これは英雄の物語ではない」これはこの作品のキャッチコピーです。強い力を持ち、一人で(途中からは誰かと)悪に立ち向かい戦う様は正義そのものなのですが、主人公が正義を名乗る事は出来ないのです。

何故出来ないのか?それは彼の所有する劔冑のせいなのですが、その意味に気付いた時に確定された正義や悪など何処にもない、という事に気付かされます。

この作品は鬱ゲーというよりも物凄いシナリオの練られた良作ゲーかもしれません。ポンポン人が死んでいったり、様々な女性が凌辱されたり(結構えげつないです)、「したくないのにしなければならない」という葛藤や、「助けたいのに助けられない」己の無力さに嘆いたりと鬱要素はたっぷりあるのですが、あまりのシナリオの良さにそちらに目が向いてしまうかもしれません。

正義を名乗れない理由「善悪相殺の理」

さて、先程鬱要素としてあげた「したくないのにしなければならない」の事ですが、あまり詳しく書くと楽しみが減ってしまうのであっさり説明するとしたら、「善悪相殺」です。

主人公の持つ劔冑には善悪相殺の理があり、悪を切れば正義を切り、憎い者を切れば愛する者を切らなければならないという悲しいルールがあるのです。

そのルールが物語にどう関与してくるのか、何故主人公は正義を名乗れないのか、正義と悪の意味や存在をどう考えさせられるのか、英雄とはなんなのかは実際にプレイしてご自身で実感してみて下さい。

力の入りまくった超大作

そして、創立10周年記念作という事でかなり気合いが入っており、細部にまでこだわってます。まずノベルゲーでは珍しいテキストの縦読み、バトルシーンに入ると劔冑を纏った武者の視点画面に切り替わる、総プレイ時間が80時間以上の大ボリューム、シナリオの一点一点に意味があり無駄がありません。

第一章は、前菜です

ただ、注意点としましては、プロローグと第一章の温度差がかなりあります。この世界で生きている少年視点になるのですが、支配されつつも穏やかな日常が続きなかなか主人公が出てきません。

やっと出てきたと思ったら「あれ?」と思うかもしれませんし、ここで中だるみを感じて飽きてきてしまうかもしれませんが、そこは前菜だと思って楽しみましょう(ここでのやり取りは後で伏線として回収されるのでこれはこれで大事なシーンです)

エグエロのシーンも、必要なのです

次にエロシーンがかなり酷い事です。基本鬼畜凌辱プレイなので女性は(人により男性も)目を覆いたくなるというか、あまりのエグさに吐き気がしますね。

ですがこの鬼畜もこの作品においては重要なのです。支配者によって荒らされた土地、行き場のない感情、過去のトラウマなどなど、その為そういうシーンを省いてしまうと物語の重さがかなり軽くなってしまうのでそこは我慢です(私は文章だけ軽く読めるようにしつつエンターキー連打してました笑)

その辺りが大丈夫そうでしたらチャレンジしてみて下さい。正義とは、邪悪とは、英雄とは何かを考えさせられる事でしょう。

何処かで「1人殺すと殺人者、100人殺すと英雄」なんて言葉を聞いた事がありますが、これはこの作品とはまた別の解釈ですね、争いの中、英雄なんて必要ないんですよ。