「追い詰められても、SOSが届かない」これは日本版でのキャッチコピーです。今日本では、年を追うごとに自殺者は増えていて、学生の自殺が多いみたいですね。

主な理由はイジメや生活苦ですが、自ら命を絶ってしまう行為にまで至るには、他にも様々な理由があると思うのですよ、他人からしてみれば「何でそんな事で?」と思ってしまう理由かもしれませんが、本人に取ってはそこまで追い詰められる程の理由なのです。

今回はその高校生の自殺、そしてその自殺理由について実際に親友を自殺で亡くした経験のある監督が作成した映画をご紹介させて頂きます。

2時37分に誰かが自殺する

この映画は2時37分に誰かが校内のトイレで自殺してしまった所から始まります。それが一体誰なのか、性別も分からないまま発見だけがされて、物語はその日の朝まで戻ります。

完璧主義者な父親に憧れつつプレッシャーに押しつぶされそうになっている少年、両親の自分に対する扱いに不満を持っているその妹、スポーツマンで人気のある少年と、自分達は最高のカップルだと思っているその彼女、同性愛者への差別に苦しむ少年、排泄障害に悩んでイジメられている少年という6人が主な登場人物となっています。

映画はそれぞれの朝から群像劇形式で少しずつ時間が進み、間間にそれぞれのインタビュー映像が差し込まれて、微妙に時間枠が戻ったりするので今どうなっているのか少し把握しづらいかもしれません。

この時間に誰それがこうしていて、その時間もしくは少し後、少し前に別の誰かがあれをしていて、と6人の登場人物がそれぞれの行動、思いに影響を与えています。

誰もが自殺しそう

話が進むにつれて、段々それぞれが抱える悩みが当初のものよりも、もっと深いものなのだと視聴者に分かるように描かれていきます。

その内容はここには書けませんが、見ていて、誰が自殺してもおかしくないような感じがしてきます。一体誰が自殺するのだろうか、その理由は何だろうか?と考えながら見ているとミステリーのような感じもしてきますね。

少しずつ、少しずつ絡まり合って複雑になり、隠されていた悩みや本性が露わになっていくと、本当にこの全員誰もが自殺してもおかしくはないのです。

深くツライ悩みを抱えていて、行き場に困っていて、誰もが追い詰められている。高校生という微妙なお年頃になると誰もが何かしらの悩みを抱えるようになると思いますが、彼らもそれぞれの悩みに苦しんでいます。

そして、その時はやってくる

2時37分、その時がやってきました。あの時間に自ら命を絶ってしまったのは……え?、という感じでした、思ってもいない人物だったので、思わず黙り込んでしまいました。

まったく予想していなかった人物だったので混乱し、それまでのエピソードをどんなに思い返しても、その人物が自殺した理由がまったく分かりませんでした。

途中に入って来るそれぞれのインタビューでも、その人物はとても幸せそうに笑っていた覚えがありますし、思いっきり悩みを抱え込んでいるのが分かる他の人達の方がずっと自殺してしまいそうだったのに。

その人物が自殺を決意した時、世界は無音になりその人物はそれぞれ悩みを抱えている登場人物達の前を透明人間のようにすり抜けていき、自殺場所のトイレに辿り着いた時、泣きながら「助けて」と自らの命を絶ってしまいました

何故、自殺したのか

という事で、その人物が自殺するという事が分かった上でもう一度最初から見直してみましょう。その人物が何をして、何を感じていたのかを探すためです。

そして見直した結果私が思ったのは、その人物はとても優しく思い遣りのある人なんだな、という事でした。その人物は優しく穏やかで、周りに気を配り、助けてあげたいと思っていたようです。

なら何故その人物が自殺してしまったのか。これは見た人によってかなり意見が分かれると思いますが、私は彼女は優しすぎたのだと思います。

周りにいる友達達がそれぞれ悩んでいる事に気が付いて助けてあげたいけど助けられない自分の無力さ、それと同時に誰の目にも映っていない、誰からもきちんと相手にして貰えない寂しさをその人物は抱えていたのでしょう。

誰もが自分の事で精一杯

そんな人物に対して、最後のインタビューで「話してくれればよかったのに」と言っている人がいましたが、言えたら自殺なんてしませんよね。

何故言えなかったのか、やはり優しすぎたのでしょう。その人物も周りからは分からなくても悩みは抱えていて、けれど周囲の友達達も抱えている悩みに苦しんでいるのを知っているからこそ、これ以上負担をかけたくなくて、かけられなくて言えなかったのだと思います。

それぞれのインタビューからは他にも「友達だったから悲しい」「とても幸せそうだった」「ラッキーな人だよ」みたいな事を言われますが、友達ならどうして気付いてあげられなかったのかと思いました。

その答えはとある登場人物が教えてくれましたよ。「悩みがある時は自分の事でいっぱいいっぱいで、周りが見えなくなる」と。

確かにそうかもしれません。自分の悩みでいっぱいいっぱいになると、周囲に気を配る余裕など何処にもないのでしょうね、むしろ自分の悩みや苦しみを理解して助けて欲しいと周囲に期待するのでしょう。

自殺してしまった人物は、自分だって何かを悩んでいるのに周囲に気を配って助けようとする優しい人だったのです、そんな人がようやく口に出せた「SOS」は、遅すぎました。

誰だって自殺する可能性がある

この映画を通して監督が言いたかったのが、これだそうです。誰がどう見ても絶対に自殺なんてしないだろうな、と思っていた人がある日突然自殺をしてしまう……本人としてはSOSを出していたのかもしれませんが、それが誰にも気付かれずに限界を迎えてしまうのです。

そしてそれに遭遇すると、「そんな風には見えなかった」「悩みがあるなら言って欲しかった」「どうして気付いてあげられなかったのだろう」と思うのでしょうね。

自殺してしまった本人も「気付いて」「助けて」と心の中では叫んでいたのかもしれませんが、それが周囲に届かないのは、悲しい事です。

誰だって自殺する可能性はあります。「幸せそうに見える」「悩みなんてなさそう」だと思っていても、気付けなかっただけで実際は追い詰められてしまう程の悩みを抱えているかもしれませんし、もうギリギリまで追い詰められているかもしれません。

あなたの周りの人々は大丈夫ですか?自分の事でいっぱいいっぱいなのは分かりますが、少し冷静になって、ちゃんと見てあげて下さい、声に出せないSOSはあるのですから。

ではこれで締めさせて頂きますね。実際にこの映画を見て、彼らの悩み、見えなかったとある人物の苦しみを感じて、考えてみて下さい、何故その人物が自殺したのかを、あなた自身の答えを出してみて下さいね。