鬱映画・後味の悪い映画・トラウマ級・バッドエンドなどで検索して必ずといっていいほど出て来るのがこの「レクイエム・フォー・ドリーム」です。
最初に書いておきますが、これに関しては全力でネタバレを書かせて頂きます

この映画はネタバレを見た後で実際に映画を見てもまったく問題がありません、個人的にこれほどの鬱映画は見た事がありませんし、私はネタバレを見た上で実際にレンタルして見たけれどその衝撃は凄まじかったです。

薬によって夢も人生も失う4人の人間

登場人物は未亡人の老女とその一人息子、その親友と、息子の彼女だけです。もちろん脇役として他にも色々な人物が出て来るのですが、この4人の人生が坂道を転がり落ちていく小石のように止まる術もなく転落していきます。

細かいところは違いますが、全員薬によって抱いていた夢も希望も崩壊してしまいます。どれも自業自得な気がしますが、薬に手を出す前は本当に普通の人々です、薬の怖さとそれに溺れた人間を末路をこれでもかというほど描いています。

ダイエットピル漬けになった老女

彼女は夫もなくし、一人息子は定職につかずフラフラとしているのみで、本当に仲のいい友達もいなく、唯一の楽しみはテレビを見る事だけなので、毎日何もせず椅子に座ってテレビを見ています。

ある日人気テレビ番組のゲスト出演の抽選が当たったという電話があり、彼女はまだ幸せに満ち足りていた頃、息子の高校の卒業式で来たお気に入りの真赤なドレスを着ようとするのですが、一日中座ってテレビを見ているだけの生活を続けたせいで太ってしまい、ドレスが入りません。

何とかいろんなダイエットを試してみるが上手くいかず、紹介された病院で医者から処方されたダイエットピルを飲んで痩せようとするのですが、「薬は用量・用法を守りましょう」と言いますか、彼女は早く綺麗に痩せようとどんどん飲む量を勝手に増やしてしまいます。

気が付けば薬中毒の状態。幻覚を見て、幻聴を聞いて、せわしなく動き回り、薬の量は更に増えていきます(この幻覚描写と意味の分からない行動が不気味でした)

そして最後はいつまで経ってもテレビ出演の案内が来ない事にしびれを切らした彼女が問い合わせに駆け込んだテレビ局で保護され、治療を受けた後に完全に廃人となって入院(この姿を心配そうに見ていたそこそこ仲の良かった友人の表情が切ないです)

ヘロインに溺れた浮浪息子

彼は大学を出ても定職につかず、母親の大事にしているテレビを質屋に入れる毎日を繰り返していました(テレビは毎回母親が直後に買取に行っていました)

そんなある日、親友と共にヘロインを売って一稼ぎしようじゃないかという話になり、最初はバンバン稼げて上手くいっていて、デザイナー志望の恋人とお金が貯まったら一緒に店を開こうという夢も抱いていたのですが。

そう上手くいかないのが人生です。親友や恋人と共に売っているヘロインに手を出し、徐々に薬漬けの状態になり、ある日もっと稼ごうと親友が請け負ってきた売人と交渉しようとしたのですがそれは罠で逮捕され、今まで稼いだお金はすべて保釈金に消えてしまいました。

ここでいい加減諦めればいいのに彼らは懲りずに一獲千金を狙って安く薬が手に入るルートを探し出し、もう一度あの大金を手に入れようとするのですが、彼の腕はヘロインを打つための注射の痕でボロボロに。

最後は強制労働所のような場所に連れていかれるのですが、彼の腕がおかしい事に気付いたお偉いさんに連れていかれて、もう何の役にも立たなくなった腕は切断されてしまいました。

調子に乗りすぎた不良青年

親友と共にヘロインで一稼ぎしようとしたのですが、上記の理由で失敗し、何とか安く薬を買えないかと旅に出た先でとうとう彼は逮捕され牢獄行きになってしまいました。

なかなか稼げない世の中、大金を手に入れて人生楽しく生きようと思っていた彼の夢もここで終わりです、あっけないものですね。

彼の最後は牢獄の中でヘロイン中毒の禁断症状に苦しみ、呻き、食べたものも吐いてしまい、牢屋から出る事も叶わない、彼に関してはあまり書く事がないので(そこまでの経緯は浮浪息子のところで書いてしまいましたし)あっさりしているように感じられるかもしれませんが、ある意味これが一番分かりやすい麻薬中毒者のエピソードかもしれません。

薬のために体まで売る事になった女性

彼女は恋人とその親友と共にヘロインをやってしまっていて、抱いていた自分の店を開くという夢と、大好きな恋人を失い、挙句の果てにはアングラすぎるグループに体まで売ってしまいます。

恋人達のお金と薬が消える前まではとても嬉しそうに、幸せそうにしていたのですが、その後は薬の切れた禁断症状に悩まされながら、早く早くと恋人に薬をねだるようになります。

そしてある日自分の事でいっぱいいっぱいになっていた恋人に「薬はまだなのか」と催促をしたところ、「そんなに欲しいならここに連絡して体でも売って自分で手に入れればいい」と逆切れされ置いてけぼりを食らってしまいます。

しばらくは彼の帰りを大人しく待っていたのですが、とうとう我慢が出来なくなり、彼から貰った連絡先に電話をかけてしまいます。

案の定そこはアブノーマルな世界。躊躇したもののもう薬が欲しくてたまらない彼女はなりふり構っていられずに乱交パーティへ……これが彼女最後です。

薬の危険性と、それに溺れた人間達の末路を赤裸々に描いた作品

日本では特に麻薬は禁じられていて、よくテレビを見ればその危険性を説明していますが、この作品ほど分かりやすく重苦しいものはありません。

あまりの後味の悪さと、見ている方が気が滅入ってしまいそうな描写に飲み込まれて「もう二度と見たくない」と思わせてくれるほど、この作品は鬱映画としてかなり出来がいいです。

特に老女のエピソードは衝撃が大きかったですね。彼女だけはそれが危険な薬だとは思ってはいませんでしたし、ただこれを飲むと綺麗に痩せられると思っていただけなので、それが最終的には廃人になってしまうのは、やるせなかったです。

ちなみに、私の住んでいる場所が田舎かせいか、大手レンタルショップでもこの映画は取り扱っていなかったのでオンラインの方で注文して一人で鑑賞しましたが、ぜひ他の方にも見て欲しいというか、正直重苦しすぎてあまりオススメは出来ないのですが、見ないと損!とも言いたいです。

では最後におまけとして、映像特典の撮影風景を終わってから見てみて下さい、女優さんの頑張りと監督のこだわりが見れて少し癒されました(笑)