鬱ゲー・鬱アニメの代表、虚淵玄が脚本を担当し、奥深くまで犯罪を取り扱い遣り切れない展開とエンディングで話題を呼んだ近年大人気の鬱アニメ「サイコパス」について、ご紹介させて頂きます。

システムに支配された世界「サイコパス」

この世界は近未来SFで時代は2112年、人の心理状態や性格傾向などをすべて数値化してプログラムが管理、職業適応診断などもあり、その人が一体どんな職業なら幸せになれるのかを判断し、その中でも重要視されるのは犯罪に関する「犯罪係数」と呼ばれるものです。

犯罪係数が高いと診断されると、実際に罪を犯していなくても犯罪者として罰せられてしまう。その数値の大きさにもよりますが、こちらの世界でいう精神病院の保護室のようなところ(強化ガラスみたいなもの越しにも常に監視され、かなり大きな建物)に監禁されたり、牢獄のような場所に監禁されたり、最悪そのまま処刑されてしまいます。

“幸せな人生”の歩み方をシステムが決めてくれる

また、タイトルでもある「サイコパス」とは人間の精神状態を科学的に分析、数値化、データ化したもので、この世界の人々はこの測定を何より重要視していて、このデータから全ての人々の適性や能力に合わせた情報(どうすればいいか、何をすればいいか)を教えるので、運や選択ミスといった事が起こらずにもっとも幸せな人生を歩めるという一見素晴らしいシステムになっています。

ですが、本当にこれで人々は幸せなのでしょうか?前述した通り、このプログラムで犯罪を起こしそうだ、と診断された人は有無を言わせず犯罪者の烙印を押されてしまいます。

一度でも危険人物であると判断されるとその人や、その人の周りの人々の人生は大きく狂ってしまいます。現実でもありますよね、加害者の家族が迫害されてしまうのを、この作品はその加害者の家族の末路までも包み隠さず表現されます。

精神状態が周囲の人間からも視覚化される

それと、サイコパスを簡単に視覚で認識出来る色相というシステムもありまして、これは通常状態(精神的にそこまで異常がない)の場合は濁りのない綺麗な色なのですが、ストレスを溜めこんだり悲観的な思考で精神状態が悪化すると色が濁っていきます(最少はクリア、最大は赤)

人々のメンタルケアの指標として毎日確認され、家の中でも街中でも簡易版の測定機能の役割をはたしているのですが、これが少しでも濁ってしまったらどうでしょう?アニメ本編中にも連行はされないけれど、通常よりは濁ってしまった人が登場するのですが、当然、迫害(もっとはっきりした言い方をすればイジメ)を受けます。

決めて貰う事は本当に幸せなのか

現実の、私達の世界では、確かに犯罪はよく起きますし人生に迷ってしまう事もありますが、その分様々な可能性を持ち、夢や希望を抱いて自分自身の意思で自分の人生を生きていきます。

一方で「サイコパス」の世界では、何をすればいいのか、どう生きていけばいいのかをすべてプログラムが決めてくれるので、何も悩む事なく指示通りに生きていけばいいので楽かもしれません。

けれどその一方で、人を幸せにするはずのプログラムで不幸になってしまう人だっています。作品内の主要人物にもそのシステムのせいで幸せになるどころか不幸になってしまったキャラクターがいるので、その想いを聞いているとやるせなくなりますね。

被害者と、加害者と、正義を信じる者

さて、これで大体の世界観はご理解頂けたと思いますので、次に進みましょう。この作品は犯罪をテーマにしているので、もちろん事件はたくさん起きます。

些細な(と言ってしまうと不謹慎ですが)事件から、グロすぎて見るのも無理だ、という方が出てきそうな凄惨な事件まであります(続編作成にあたって1のダイジェスト版アニメが放映されたのですが、とある事件が皆さんのよく知る事件と似ているためその話だけ放映中止になりました)

加害者、被害者、犯罪を取り締まる者の思いが交差し、どの立場になって考えてみても切なくて悲しくて何が悪いのかが分からなくなりました。

苦しみを抱えた登場人物達

そういえばあまり登場人物の話をしていなかったですね。主要人物だけでも紹介しようとすれば出来るのですが、それは実際にアニメを見てどのキャラクターにどんな思いを抱けるかは貴方にお任せしたいと思います。

ですが簡単にだけ。主人公(女性)は犯罪者を取り締まる新米監視官(執行官を見張り、捜査の全指揮権を持つエリート刑事)で、その周りには執行官(実質的に捜査を行う。優秀だが犯罪係数が非常に高く犯罪者になる可能性が高い、基本的に監視下にあって自由はほとんどない)、そして犯罪者達で成り立ってます。

少し難しいかな……主人公と仲間達をもっと簡潔に言えば、新しいご主人様と警戒心の強いペットですね。なのでもちろんなかなか仲良くなれません。

正義感が強くまっすぐに生きている主人公と、様々な理由から潜在犯(犯罪係数が高くてまだ罪を犯していない人)になってしまった人々が、潜在犯から犯罪者になってしまった人々と立ち向かう様を、この幸せを生み出すはずだったシステムとそれに依存している人々を見ながら、考えてみて下さい、これが本当に幸せなのかと。

最後に、街中や自宅のセキュリティーはすべてこのサイコパスを利用しているだけなので、サイコパスがきちんと作動しなければどうなるか……分かりますよね?